今回は、以前作っていたベニア板カヤックの製作をご紹介いたします。
当時、誘われて年に1回ペースで数回カヤックに乗る機会はあったのですが、基本的にインドア派なもんであまりハマることはありませんでした。
それなのに、あえて作り始めたきっかけ、
ある日テレビの地方番組で自作カヤックの紹介をしていたのを、何故か数年後突然思い出し、何となくGoogle先生に「カヤック自作」で検索しましたところ、山ほどの自作カヤッカーたちの奮闘記が出てきました。
「自作する者がこんなにおるんじゃー⁉︎」
とプチ感動しつつ、それらをどんどんと読み進めていきました。元々何でも自分で作りたい性分なのでこれらの記事は私を虜にするには十分でした。(この性分ゆえ数々の失敗もありますが…)
数々の自作カヤッカーのブログをむさぼる様に読みました。そして最終的にカヤックをを自作するには、まずは何をするべきか?
おぼろげながら、4つの道しるべが見えてきました。
①「カヤック製作友の会」に入会する。
井瀬氏 が運営する友の会。日本の自作カヤックの多くが、彼の元から生まれてると思われます。井瀬氏や会員によるフォローも頂けます。
②書籍「シーカヤック自作バイブル」(八木牧夫著) をかう。
バイブルの名に恥じない、初心者でもカヤック作れる!と思わせる充実の名著。
③書籍「新版カヤック工房」をかう。
アメリカのチェサピークライトクラフト社が発刊した「The New KayakShop」の翻訳本。翻訳本ゆえの少々の分かりにくさがあるものの、本場アメリカのDIY魂を感じさせる偉大な本。
④数万円するカヤックの設計図を購入する、もしくは、さらに高額にはなるがプレカットされた材料を、購入する。
中でもアーキテック社のキットはレーザーカットによる精密な加工がされており、少々大袈裟に言えばプラモデル感覚で組み立てることが出来ます。
残念ながら、貧乏な私にとっては④の選択肢はありませんでした。
(ただ今にして思えば、どのカヤックを作ろうとも製作にはそれ相応の材料や工具の費用と手間がかかるので、キットを購入するのも十分アリだなと思います。)
と言うわけで、
①「友の会」に入り、
②町の大きな本屋で「自作バイブル」を買い、
③本屋では見つけられなかった「カヤック工房」をamazonで購入しました。
間違いなく、素人がカヤックを安く自作するにはこの三つの道以外はないでしょう。(よっぽどのことがない限り、ご近所にカヤック製作の先生がいることは無い)
これらを穴が空くほど読み返し、自分が制作する艇を決定します。
各艇の特徴。
*「カヤック制作友の会」
主宰井瀬氏は、カヤックの美しい曲線を生み出すべく、数々の計算式を駆使し、全くゼロの状態からカヤック製作に挑み成功させた凄い方です。その後「友の会」を立ち上げ惜しげも無くそのノウハウを提供されてます。
そこで紹介されてる艇は十数艇にも及び、いまだなお、それらを改良すべくマイナーチェンジを繰り返してます。
また、それらの艇を製作するための設計図と製作手順を格安にて提供していただけます。
製作手順は、基本的に誰でも製作しやすいようなるべく難易度の高い工法は使わず、詳細な設計図をベニア板に転記した物をカット組み上げていきます。
さらに、「友の会」が運営するBBSを通じて井瀬氏本人や、諸先輩方からのアドバイスを頂けるという、まさに「至れり尽くせり!」
*「シーカヤック自作バイブル」
この書籍で紹介されるのはただの1艇のみです。
されど、1艇のみにあらず!
なぜならば、複雑な計算式を用いなくとも、「友の会」のような詳細な設計図などは無くても、自分自身で素晴らしいカヤックを設計することができます。
また、詳しい解説とともに、全編にわたってカラー写真もふんだんに使われているので、製作過程が非常にわかりやすくなってます。
*「新版カヤック工房」
こちらの書籍では3艇が紹介されてます。
「チェサピーク16」
この3艇の中では最も標準的でこの中では比較的製作も容易だと思われます。前述したカヤック自作バイブルの艇に近い。
「ウエストリバー180」
3艇の中で長さが最も長く、直進性に優れる。ハル(船体)が多くの板により構成されているので製作の難易度は高い。
「セバン」
3艇の中では長さが短くシーカヤックと言うよりは、湖や流れの緩やかな川で使用するイメージの艇。ウエストリバーとは逆に、ハルがわずか二枚の板で構成されているため製作の難易度が低い。 と思いきや、逆に二枚しかない板を曲面に仕上げるため難易度は高い。今まで紹介したカヤックの中ではかなり特殊な工法を用いる。
そして、私が選んだ道は、
「新版カヤック工房」
セバン : The Severn です。
Severnを選んだ理由
恐らく海では乗らないので、やや小ぶりな船が良かった。(と言いながらも4.5m位ある)のと、
「作り方がイマイチわからない。」
と言う謎の理由からです(^^)
Google先生にいくらお尋ねしても、Severnの製作例は殆ど出てきません。
「新版カヤック工房」もかなりの曲者で、翻訳本ゆえの分かりにくい表現や、現地でしか調達出来ない資材があったり、写真はモノクロ、設計図は見えにくい。文章の構成も掲載された三艇それぞれの製作工程を事細かく解説するのでは無く、いわゆるステッチ&グルー工法 (直訳すると縫って接着する?) を解説する話の流れの中で、各艇の注意点が語られるのみ、更に言えばインチ・フィート表記なので分かりにくさに拍車がかかってます。
しかしながら、私はあえて最も困難であろうイバラの道を選択いたしました。
果たして、サブタイトル「誰もが作れる美しいカヤック」は真実なのか?
実は、現在のところまだ完成してません。もう2年近く放置したままで自分の黒歴史として記憶の隅に追いやっておりましたが…
先日、西日本豪雨にあいました。
もしかしたら作りかけのカヤックを進水させなければならないかもと思いましたが、幸い我が家は無事でした。ただ道路は冠水し、周辺のお宅は床下浸水の状態でした。こうした状況から記憶の隅の黒歴史を再び表舞台に引きずり出し、今回の記事を書くに至りました。
前置きが長くなりました。
製作途中までですが、Svernを作ってみよう!と言う奇特な方のために、わずかながらでもお役に立てれば幸いです。
では本題の
まず、最初に驚愕の事実を申し上げます。
新版カヤック工房より 一部拡大
これは設計図の一部を拡大したものです。分数で表記してあるのが元々の図面の数値なのですが、かなり読みづらいと思います。(ちなみに小数点の数値は私がインチ表記をミリに換算しようとした苦心の後です。(^^;
読みづらいのは、私の写真の腕前が悪いのではありませんし、あなたが老眼になったわけでもありません。出版の時点で本来の原書のコピーを掲載してしまっている為読みづらいのです。
出版元で多くの船舶関係の書籍を発行している「舵社」はこの事を把握してるのでしょうか? サブタイトルに「誰でも作れる〜 」とあるのに、設計図が読めない時点で「誰も作れない」のですが…
まぁ〜愚痴を言ってもしょうがないので、気を撮り直して原書「The New Kayak Shop」を購入しましょう。
少し小さい方が原書です。
問題の設計図はこちら、
The New KayakShop より一部拡大
と言うわけで、英語が読めない人は両方セットで買いましょう。
次にする事は、インチのスケールを買う事です。
私は当初、何とかインチをミリに換算して製図しようと思いました。
ただしインチスケールは日本の計量法のため国内の販売は認められていませんのでホームセンターや文具屋さんでは一切販売されてません。というわけで、英・Amazonにて注文しました。(国内amazon等では販売されてますが、長さが短いものしかありませんでした)
次回、製図およびトリマーを使ったスカーフ接続編に続く
チェサピークライトクラフトChesapeake Light Craft セバンSevern 製作過程のご紹介です。
まず、最初に驚愕の事実を申し上げます。
なんと「新版カヤック工房」を読んでも製作できません!
何故ならば、
新版カヤック工房より 一部拡大
これは設計図の一部を拡大したものです。分数で表記してあるのが元々の図面の数値なのですが、かなり読みづらいと思います。(ちなみに小数点の数値は私がインチ表記をミリに換算しようとした苦心の後です。(^^;
読みづらいのは、私の写真の腕前が悪いのではありませんし、あなたが老眼になったわけでもありません。出版の時点で本来の原書のコピーを掲載してしまっている為読みづらいのです。
出版元で多くの船舶関係の書籍を発行している「舵社」はこの事を把握してるのでしょうか? サブタイトルに「誰でも作れる〜 」とあるのに、設計図が読めない時点で「誰も作れない」のですが…
まぁ〜愚痴を言ってもしょうがないので、気を撮り直して原書「The New Kayak Shop」を購入しましょう。
少し小さい方が原書です。
問題の設計図はこちら、
The New KayakShop より一部拡大
ねっ!全然違うでしょ!
と言うわけで、英語が読めない人は両方セットで買いましょう。
次にする事は、インチのスケールを買う事です。
私は当初、何とかインチをミリに換算して製図しようと思いました。
ただ、例えば0.4mmを四捨五入して0mmとし、0.5mmを四捨五入して1.0mmとすると、誤差が1.0mmとなります。もちろん1.0mmの違いを工作する技術は持ち合わせておりませんが、いっその事そのままインチで製作した方が簡単のではないかと思い至りました。
ただしインチスケールは日本の計量法のため国内の販売は認められていませんのでホームセンターや文具屋さんでは一切販売されてません。というわけで、英・Amazonにて注文しました。(国内amazon等では販売されてますが、長さが短いものしかありませんでした)
そうして手に入れたのがこちら
[余談…]
「インチについて」
ここで我々のセンチやミリの思考を停止して、
我々日本人にとって1mm x 10 は1cm。
我々日本人にとって1mm x 10 は1cm。
小学生でも分かります。
では、mmをインチ、cmをフィートに置き換えて考えてみましょう!
我々の感覚からすると、1インチx10は1フィートとなるはずです。
ところが、彼等の単位では、1インチ(約2.54cm) x 12 が1フィート(30.48cm)です。
(ちなみに、何故か1フィート x 3 = 1ヤード です)
「頭おかしいですね?」
では、1インチ以下はどうなるか?
我々の感覚では、1インチの半分であれば0.5インチ(12.7mm)。2/10であれば0.2インチ(約5.15mm)です
小学生でも分かります。
しかしながら彼等の感覚では、1インチの半分は 1/2インチです。 (まぁ、ここまでは良いでしょう)
ところが、彼らにとって、
0.2インチ(2/10インチ)と言う単位はありません!
しいて言えば、最も近いのがなんと!
13/64インチ (0.203125インチ) なのです!
「ウソじゃろ⁉︎」
と思われるかもしれませんが、真実です。
…閑話休題
ようやく書籍とスケールを手に入れた所で、いよいよ製作が始まります。
必要な資材は物凄く大雑把に言えば、ベニア板、エポキシ樹脂、銅線、グラスファイバークロスがあればokです。詳細は書籍にて案内されてますのでご参照下さい。
大まかな流れは、
- 製図
- 船底板組み立て
- 隔壁板取り付け
- コーミング取り付け
- 塗装
- ファイバーグラッシング (完成)
となります。
では早速、製図に取り掛かりましょう!
次回、製図およびトリマーを使ったスカーフ接続編に続く
コメント